国際相続の基礎|準拠法・反致・4つの条約を行政書士が解説

「タイに別荘を持っていた父が亡くなった」「在日韓国人だった母の相続をどう進めるか」「台湾の祖母が日本のマンションを残してくれた」――こうしたご相談で最初に立ちはだかるのが、どこの国の法律で相続を進めるのかという問題です。日本で起きた相続なら日本の民法、で済みそうに思えますが、財産や家族が国境をまたぐと話はそう簡単ではありません。本記事では、国際相続の出発点になる「準拠法」という考え方と、それに関わる主要な条約までを、専門用語をできるだけ言い換えながら順を追って整理します。

Point

この記事の要点

  • 国際相続では、まず「どの国の法律を使うか」を決める必要があり、これを準拠法と呼ぶ
  • 日本のルールは「亡くなった人の国籍国の法律で相続する」が原則(通則法36条)
  • 世界の国は「動産も不動産もまとめて1つの法律で処理する派」と「不動産だけ別ルールにする派」の2つに分かれる
  • 「ハーグ条約」と一括りにされる条約は実は複数あり、相続関連でも目的の違う4つを区別して理解する必要がある

「どの国の法律で相続するか」が国際相続の出発点

たとえばこんな状況を思い浮かべてみてください。

  • 長くタイで暮らしていた日本人男性が、現地のコンドミニアムを残して亡くなった
  • 日本に長年住んでいた韓国籍の方が、日本に不動産と預金を残して亡くなった
  • 台湾の祖父が日本にマンションを持ったまま亡くなり、その相続をどう進めるか相談された
  • ベトナムに駐在していた日本人が、現地と日本の両方に財産を残して亡くなった

こうしたケースで最初にぶつかるのが「そもそも、どの国の法律で相続を考えればいいんですか?」という疑問です。日本の民法なのか、亡くなった方の国籍国の法律なのか、財産がある国の法律なのか――。実はここに国際相続のいちばん難しい論点があります。

「準拠法」という考え方

具体的な相続を実際に処理するときに使う国の法律のことを、専門用語で準拠法(じゅんきょほう)と呼びます。「どの国のルールに準拠しますか?」という意味だと思っていただければ、ほぼ正確です。

そして、その準拠法を決めるためのルール自体も、国ごとに違います。日本では「法の適用に関する通則法」という法律でこのルールが定められており、これが日本の国際私法と呼ばれるものです。「国際私法」と聞くと国家間の条約のような響きがありますが、実態は各国がそれぞれ持っている国内法で、世界共通の統一ルールがあるわけではありません。

1つの相続が複数の法律で処理されることもある

もう1つ押さえておきたいのは、1人の方の相続が必ず1つの国の法律で完結するとは限らないという点です。たとえば日本人がタイに不動産を残した場合、日本側では「日本法で考える」のですが、タイ側では「タイ法で考える」と言ってきます。同じ財産を巡って2つの国の法律が同時に主張される、ということが普通に起こります。

このねじれを処理する仕組みが、後ほど説明する「反致」や「条約」です。まずは「国際相続には複数の法律が同時に絡むことがある」という大枠を頭に入れていただければ大丈夫です。

日本のルールは「亡くなった人の国籍の国の法律で」

日本における準拠法のルールは、通則法という法律の36条と37条にまとまっています。条文自体はとても短いので、結論からお伝えします。

通則法36条 ― 相続のルール

条文は「相続は、被相続人の本国法による」とだけ書かれています。「本国法」というのは、亡くなった方が国籍を持っていた国の法律という意味です。

つまりシンプルにこういうことです。

  • 日本人が亡くなった → 日本の民法で相続
  • 韓国籍の方が亡くなった → 韓国法で相続
  • 台湾籍の方が亡くなった → 台湾法で相続
  • ベトナム人が亡くなった → ベトナム法で相続
  • 米国籍の方が亡くなった → 米国法で相続

注意したいのは、「住んでいた場所」ではなく「国籍」が基準だという点です。日本人がタイに30年住んでタイで亡くなった場合でも、原則として日本法が相続の準拠法になります。逆に、日本に長く住んでいた韓国籍の方が日本で亡くなれば、原則として韓国法が準拠法です。

通則法37条 ― 遺言のルール

条文は「遺言の成立及び効力は、その成立の当時における遺言者の本国法による」となっています。遺言が有効に成立したか、内容が法的に効果を持つかは、遺言を書いたときの国籍国の法律で判断します、という意味です。

ただし、遺言の「形(自筆か公正証書か、証人が何人必要か、など)」については、もう1つ別の法律「遺言の方式の準拠法に関する法律」が用意されており、選択肢が広く設定されています。これは後ほど条約の章で詳しく扱います。遺言の中身は通則法37条、形は別の法律、と覚えておけば十分です。

「本国法」が一筋縄でいかないケース

本国法といっても、世の中には次のような方もいます。

  • 日本と韓国の二重国籍を持っている
  • 米国籍だが、米国の中でもカリフォルニア州とテキサス州で法律が違う
  • 無国籍状態である

こうしたケースに対応するため、通則法は38条以下で細かいルールを定めています。たとえば二重国籍の方で、その中に日本国籍が含まれている場合は日本法を本国法とします。米国のように州ごとに法律が違う国の場合は、その国のルールで指定される州の法律を本国法とし、それがなければ最も関係の深い州の法律を使います。

世界には「まとめて1つ派」と「不動産だけ別派」がある

ここから少し踏み込んだ話になります。世界の国々は、相続準拠法について大きく2つの考え方に分かれているのです。

「まとめて1つ派」(相続統一主義)

不動産だろうと預金だろうと宝石だろうと、亡くなった方の財産は全部まとめて1つの法律で処理するという考え方です。1人の人生で築いた財産は、その人の人格に紐づく一体のものだから、ばらしたくないという発想です。

採用国の例:

  • 日本(本国法を採用)
  • 韓国(本国法、ただし被相続人による準拠法選択も可)
  • 台湾(本国法を採用、渉外民事法律適用法58条)
  • ドイツ・イタリア・スペイン・スウェーデン など

「不動産だけ別派」(相続分割主義)

動産(預金・株・宝石・車など、物理的に動かせる財産)と不動産(土地・建物)を分けて、別々のルールで処理する考え方です。「不動産はその国の経済や登記制度と深く結びついているから、所在地のルールに従うべきだ」という発想に基づきます。

典型的なルールはこうです。

  • 不動産 → その不動産がある国の法律(所在地法)
  • 動産 → 亡くなった方の住んでいた国の法律(住所地法) や 本国法

採用国の例:

  • 米国・英国(英米法系)
  • フランス・ベルギー・ルクセンブルク
  • 中国
  • タイ(仏暦2481年・法の抵触に関する法律37条)
まとめて1つ派 (相続統一主義) 動産・不動産を区別せず 本国法または住所地法で一括 採用国の例 日本・韓国・台湾 ドイツ・イタリア など 不動産だけ別派 (相続分割主義) 動産と不動産を分けて適用 不動産=所在地法 / 動産=住所地法 採用国の例 米国・英国・フランス 中国・タイ など
世界の国は相続準拠法について大きく2つの主義に分かれている

この違いが生む「ねじれ」

2つの主義が混在しているため、財産の所在地によっては国同士で意見が食い違う事態が起こります。代表的な例を見てみましょう。

例:日本人がタイに不動産を残して亡くなった場合

  • 日本側の言い分:「亡くなった方が日本人だから、相続は全部まとめて日本法で処理します」(統一主義)
  • タイ側の言い分:「タイにある不動産については、タイの抵触法37条で所在地法と決まっているので、タイ法で処理します」(分割主義)

両国でそれぞれ違う法律が同時に主張されるため、実務では「日本では日本法でまとめつつ、タイ国内の手続きはタイ法に従って別途進める」という、両建ての対応が必要になります。

逆方向の例も考えられます。

例:米国人が日本に不動産を残して亡くなった場合

  • 米国側のルール:「不動産は所在地法で。日本にある不動産だから日本法で」(分割主義)
  • 日本側のルール:「亡くなった方が米国籍だから、本来は米国法で。でも米国側が日本法と言うなら、日本法でいいですよ」(後述する反致のルール)

このような「外国法から日本法に戻ってくる」場面で活躍する仕組みが、次のセクションで説明する「反致」です。

外国法から日本法に戻ってくる「反致」という仕組み

通則法36条で「亡くなった方の本国法を使う」と決めても、その本国法をのぞいてみると「いや、不動産は所在地法ですよ」と日本法を指定し返してくることがあります。このとき、日本の通則法41条はこんなルールを置いています。

ちょっと回りくどい言い回しですが、要するに「外国法を見にいったら日本法に戻れと言われた。なら最初から日本法でいいですよ」という割り切りのルールです。これを反致(はんち)といいます。

具体例①:米国人が日本に不動産を残した場合

  1. 日本通則法36条 → 「亡くなった方(米国人)の本国法を使う」 → 米国法を見にいく
  2. 米国の国際私法 → 「不動産は所在地法による」 → 日本法を指定し返してくる
  3. 通則法41条(反致) → 「じゃあ日本法でやりましょう」
日本 通則法36条 本国法 米国 不動産=所在地法 日本へ戻る(反致) 結論 日本法を適用
外国国籍の方が日本に不動産を残した場合、反致が成立して日本法が適用される

具体例②:長年日本に住んでいたドイツ人が亡くなった場合

反致は不動産の話だけではありません。たとえば、日本に常住していたドイツ人が亡くなったケース。

  1. 日本通則法36条 → 「ドイツ法を使う」
  2. ドイツに適用されるEU相続規則 → 「常居所地の法律を使う」 → 日本法を指定
  3. 通則法41条(反致) → 「日本法でいきましょう」

この場合は不動産の話ではなく、住んでいた場所(常居所地)を理由に日本法に戻ってくるパターンです。「外国法→日本法への戻り」が反致の本質で、その経路が不動産だけとは限らないわけです。

日本人が被相続人のときは反致は起きない

ここが誤解されやすいポイントです。日本人が亡くなった場合、通則法36条で最初から「日本法」が指定されるので、そもそも「外国法から日本法に戻ってくる」場面が発生しません。したがって反致の問題は生じない、というのが正確な理解です。

国際相続にかかわる4つの条約をやさしく整理

国際相続の場面で出てくる「条約」は、目的の違うものが複数あります。ここでは特に押さえておきたい4つを、できるだけ平易に整理します。

① 遺言方式ハーグ条約(1961年)

正式名称は「遺言の方式に関する法律の抵触に関する条約」です。1961年10月にオランダのハーグで採択されました。

この条約の狙いは、遺言を「形」の面でできるだけ救済することです。具体的には、次のうちのどれか1つの法律に方式が合っていれば、その遺言を有効とみなしましょう、というルールを定めています。

  1. 遺言を書いた場所の法律
  2. 遺言を書いたとき/亡くなったときの国籍国の法律
  3. 遺言を書いたとき/亡くなったときの住所地の法律
  4. 遺言を書いたとき/亡くなったときの常居所地の法律
  5. 不動産についての遺言なら、その不動産がある国の法律

1つでも条件を満たせばOKという、かなり救済型のルールです。日本は1964年にこの条約を批准し、国内法として「遺言の方式の準拠法に関する法律」を作りました。条文の中身は条約とほぼ同じです。

たとえば、日本人がカリフォルニア州に住んでいたときに現地の方式で遺言を作った場合、日本ではこの法律の「行為地法」または「住所地法」に合致しているので、形の面では有効と判断される可能性が高い、ということになります。

タイ・ベトナム・台湾はこの条約に未加盟です。ただし日本国内で遺言の有効性を判断するときは日本の国内法を使うので、これらの国で作成された遺言も上の5つの選択肢のいずれかに該当するかで判断されます。

② 国際遺言条約(1973年・ワシントン)

正式名称は「国際遺言の方式に関する統一法を定める条約」です。1973年10月にワシントンD.C.で採択され、1978年に発効しました。

ここで重要なのは、この条約はハーグ条約ではないという点です。これを主管したのはUNIDROIT(私法統一国際協会)というローマに本部を置く国際機関で、ハーグ国際私法会議とは別組織です。日本語の解説で「ハーグ条約」と一括りにされていることがありますが、上記①の遺言方式ハーグ条約とは目的も主管も別物です。

この条約の特徴は、「国際遺言」という共通の遺言フォーマットを作り、加盟国間で互いに有効と認め合う仕組みです。具体的には、署名と認証(2人の証人と権限ある人による認証)を伴う方式が定められています。

条約に署名した国は約20か国にのぼりますが、実際に批准して国内法を整備し条約を運用しているのは約12〜13か国にとどまります。運用している国としては、オーストラリア、ベルギー、ボスニア・ヘルツェゴビナ、カナダ(一部州)、キプロス、エクアドル、フランス、イタリア、リビア、ニジェール、ポルトガル、スロベニア、米国(一部州)などが挙げられます。英国・ロシア・バチカン市国などは署名のみで国内法整備に至っていません。日本・タイ・ベトナム・台湾はいずれも未加盟です。

つまり、日本で「国際遺言」の方式に従って遺言を作っても、日本ではこの条約に基づく特別な扱いを受けるわけではなく、原則どおり遺言方式準拠法の5つの選択肢で形の有効性が判断されることになります。

③ 相続準拠法ハーグ条約(1989年)

正式名称は「相続の準拠法に関する条約」で、1989年にハーグで採択されました。これは相続の準拠法そのものを国際的に統一しようとする野心的な条約でした。

しかし、批准したのはオランダ1か国のみで、そのオランダもその後撤回したため、現在に至るまで条約は発効していません。署名国もアルゼンチン、ルクセンブルク、オランダ、スイスの4か国にとどまります。

この事実が示すのは、「相続準拠法の世界統一は実現していない」ということです。各国がそれぞれ自国の国際私法で個別にルールを決めている現状は、今後しばらく続くと見てよいでしょう。だからこそ、各国別の検討が今もなお必要なのです。

④ アポスティーユ条約(1961年・ハーグ)

正式名称は「外国公文書の認証を不要とする条約」です。これは相続そのものを規律する条約ではありませんが、国際相続の手続きで戸籍謄本、遺産分割協議書、委任状などを海外に提出する場面で必ず関係します。

加盟国間では、書類に外務省が「アポスティーユ」という付箋を付けるだけで、相手国の領事認証なしに公文書として認められる仕組みです。日本は加盟済で、締約国は世界で約130か国にのぼります。

アジア圏での加盟状況を見ると、韓国・中国・フィリピン・モンゴル・インドなどはすでに加盟しています。一方で、未加盟または発効待ちの国もまだあります。

4条約の整理表

通称 採択年・主管 日本 主要関係国の状況
遺言方式ハーグ条約 1961年・ハーグ国際私法会議 加盟(1964年) タイ・ベトナム・台湾はいずれも未加盟。ただし日本国内での判断は日本の国内法による
国際遺言条約(ワシントン) 1973年・UNIDROIT 未加盟 運用国は約12〜13か国(豪・仏・伊・加の一部州など)。タイ・ベトナム・台湾・韓国は未加盟
相続準拠法ハーグ条約 1989年・ハーグ国際私法会議 未加盟(条約自体未発効) 条約自体が発効しておらず、各国別の検討が今も必要
アポスティーユ条約 1961年・ハーグ国際私法会議 加盟 韓国・中国・フィリピン・インドネシアは加盟済。タイは2025年承認・未発効。ベトナムは2026年9月発効予定。台湾は枠外

「ハーグ条約」は実は1つではない

ここまで読んでお気づきのとおり、「ハーグ条約」と呼ばれるものは1つではありません。ハーグ国際私法会議で採択された条約は40近くあり、本記事で扱った3本のほかにも次のようなものがあります。

  • 国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約(1980年・通称「ハーグ条約」と呼ばれることが最も多い)
  • 民事又は商事に関する裁判上の文書の外国における送達及び告知に関する条約(1965年・通称「ハーグ送達条約」)
  • 信託の準拠法及び承認に関する条約(1985年)
  • 国際養子縁組に関する子の保護及び協力に関する条約(1993年)

「ハーグ条約に加盟していますか?」と聞かれたとき、どの条約を指しているのかをまず確認することが、国際相続の実務では大切です。一般のニュースで「ハーグ条約」と書かれているとき、たいていは1980年の子の奪取条約を指しているので、相続の文脈で同じ言葉が出てきたら別物と考えるべきです。

加えて、すでに触れたとおり、1973年の「国際遺言の方式に関する統一法を定める条約」はワシントンD.C.で採択されUNIDROITが主管したもので、ハーグ条約ではありません。日本語の解説でこの2つを混同している記事は少なくないため、特に注意したい点です。

国際相続を考えるときのチェックリスト

ここまでをふまえて、国際相続の場面で最初に確認しておきたい項目を整理します。

  1. 亡くなった方の国籍はどこか(単一か複数か、米国のように州ごとに法律が違う国か)
  2. 亡くなった方が長く住んでいた場所はどこか(常居所地・住所地)
  3. 財産がどこの国に、どんな種類で(動産か不動産か)分布しているか
  4. その国は「まとめて1つ派(統一主義)」か「不動産だけ別派(分割主義)」か
  5. その国は反致を認めているか
  6. 遺言があるか、その方式は複数の国で有効と認められそうか
  7. 各国の手続きでアポスティーユが使えるか、それとも領事認証が必要か
  8. 相続税の申告義務がどの国で発生するか

これらを一つひとつ確認することで、「どの国の、どの法律が、財産のどの部分に効くのか」が見えてきます。最初にこの整理をせずに手続きを進めると、後から「この国の法律も適用されていた」と気づいてやり直しになるケースが少なくありません。

Summary

まとめ

国際相続は、国境をまたぐだけでなく、複数の法体系をまたぐという特徴があります。日本一国で完結する相続とは違い、「どの国の、どの法律が、財産のどの部分に効くのか」という重ね合わせの整理から始めなければなりません。本記事で見てきたとおり、世界の国は大きく2つの主義に分かれ、関連条約も日本・他国が加盟しているもの・していないものが入り混じっています。

この全体像をまずつかんでおくと、各国別の論点(タイの土地相続制限、米国のプロベイト、フィリピンの遺留分、台湾相続税の申告期限など)に進んだときにも、見通しが立ちやすくなります。

こまいぬ行政書士法人では国際相続や遺言等の将来設計の準備のご相談をお受けしております。お気軽にお問い合わせください。

FAQ

よくあるご質問

日本人がタイで亡くなった場合、日本法とタイ法のどちらが適用されますか

原則として、相続全体については日本の通則法36条により日本法(亡くなった方の本国法)が適用されます。ただし、タイにある不動産については、タイ側で抵触法37条により「不動産の所在地法」としてタイ法が適用されます。日本では日本法、タイではタイ法という二重適用の状況が発生し、それぞれの法律で並行的に手続きを進める必要があります。

在日韓国人や台湾籍の方が日本で亡くなった場合はどうなりますか

韓国も台湾も「亡くなった方の本国法による」というルール(統一主義)を採用しているため、日本側でも本国(韓国・台湾)の法律が相続の準拠法になります。反致のような「日本法に戻ってくる」流れは生じません。なお、韓国籍の方は被相続人本人が遺言で準拠法を選択することも認められているため、生前の対策によっては日本法を準拠法にすることも可能です。

反致は日本人が亡くなった場合にも問題になりますか

通常はなりません。反致(通則法41条)は「外国法から日本法に戻る」ケースを指す仕組みで、最初から日本法が指定される日本人被相続人のケースでは反致の余地がありません。ただし、日本以外の国籍も同時に持つ二重国籍のケースなどでは、別途検討が必要になることがあります。

海外で作った遺言は日本でも使えますか

1961年の遺言方式ハーグ条約に基づく国内法「遺言の方式の準拠法に関する法律」第2条により、行為地法、本国法、住所地法、常居所地法、不動産所在地法のいずれかに方式上適合していれば、日本でも形の面では有効と扱われます。ただし、内容面の有効性、登記実務での受け入れは別問題で、現地法に基づく弁護士意見書の提出を求められることもあります。

タイ・ベトナム向けの書類は今後アポスティーユで済むようになりますか

ベトナムは2025年12月31日に加入文書を寄託済みで、2026年9月11日に発効する予定です。これ以降はアポスティーユのみで足ります。タイは2025年12月9日に加入を閣議承認しましたが、加入文書未寄託のため現時点では未発効で、当面は領事認証ルートが必要です。最新情報は外務省や駐日大使館の公式サイトで必ず確認してください。

こまいぬ行政書士法人/稲葉 翔

代表社員/行政書士・申請取次行政書士
法務博士(JD)。ECでの輸入販売会社の経営経験を持つ。遺言・相続・国際相続・任意後見・各種契約などの民事法務設計が得意。タイ語対応可能。一人ひとりの個別事情に寄り添った丁寧なヒアリングで、将来も見据えた真に役立つ解決策の提案がモットー。AIやGASといったITツールの実務への活用にも積極的に取り組んでいる。

こまいぬ行政書士法人 komainu-law.jp
代表社員/行政書士・申請取次行政書士 法務博士(JD)。ECでの輸入販売会社の経営経験を持つ。遺言・相続・国際相続・任意後見・各種契約などの民事法務設計が得意。タイ語対応可能。一人ひとりの個別事情に寄り添った丁寧なヒアリングで、将来も見据えた真に役立つ解決策の提案がモットー。AIやGASといったITツールの実務への活用にも積極的に取り組んでいる。

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